麻疹(はしか)が増えている

マスコミなどでも報道されていますが、麻疹(はしか)が増えているようです。

国立感染症情報センターのサイトで見ると、特に成人麻疹(15歳以上)が多く、3月半ばから急に増えています。今までで多かった2003年を超え、最近の大流行と言われた2001年と同レベルです。東京都では、すでに成人麻疹は2001年を上回っており、14歳以下の子どもの麻疹も、2001年と同レベルに達しています。(東京都感染症情報センターのデータ

さらに、東京都の資料を見ると、保育園・幼稚園よりも、小中学校、高校や大学での患者発生が目立ちます。つまり、小さい子よりも青少年に多いのが特徴なんですね。

クリニックの近くの小学校でも麻疹の集団感染があり、学校閉鎖になったところがありますが、学齢前のこどもは、上のきょうだいからうつった3才の子がひとりいただけです(5月末現在)。小学生では、やはり麻疹ワクチンを受けていない子が目立ちますが、1才のときに受けた子でも、軽い麻疹の症状が出た子も何人かいます。

ワクチンを受けていてもかかってしまった、という人の多くは、ワクチン接種から時間がたつうちに抗体が減ってしまい、症状が出るのを防げるレベルより下がってしまった人たちです。こうした人たちでは、減っているとはいえ抗体は残っているので、症状はわりに軽くなり、典型的な麻疹の症状とは異ることが多いのです。これは本人にとってはいいことなのですが、診断がまちがったり遅れたりしがちになる、というのは、やっかいな側面です。麻疹だとは気づかずに学校や職場に行ったり、旅行に行ったりして、周囲の人にうつしてしまうことがあるからです。

まあ、周囲の人もワクチンを受けているか、かかったことがあって、万一感染しても軽くすむ人ばかりであれば、いいようなものですが。問題なのは、ワクチンも受けておらずかかったこともない人がかかった場合。

麻疹は、今の日本でみられる感染症の中では、重い病気です。熱も高く、咳もひどく、治るまでには1週間くらいはかかります。体力のある子ではそれほどぐったりしない子もいますが、多くの場合はかなり体力を消耗します。そういう意味では、インフルエンザよりも麻疹のほうが重いと言っていいと思います。

しかも、麻疹ウイルスに対しては、とくべつな薬というものがありません。いったんかかってしまえば、自前の免疫の力で治るまで待つしかありません。

そういう意味で、今、いちばん心配なのは、まだ麻疹ワクチンを受けていない1才前後の小さい子どもに流行が拡がってしまわないか、ということ。幸い、1才でワクチンを受ける子が多いので、保育園や幼稚園ではまだ「流行している」というほどにはなっていないようですが。

6月25日付記:結局、クリニック周辺の流行では、その後も年齢の低い子どもはほとんど発病せず終息しました。やれやれ、というところです。

2007.6