小さな種が土に深く根を張り、太陽と水の恵みを受けて、やがて芽吹き、嵐や日照りに耐えて伸びてゆくように、こどもという小さないのちも、潤いとやすらぎのなかではぐくまれ、様々な冒険、つまずきやかなしみをくりかえしながら、大きく育っていきます。

ひとりひとりのこどもがそれぞれに持つ、そんな「育ついのち」の力を、いろいろな場面で、わたしは見てきました。人の技術によってではなく、自然の力と時間とに委ねられて草木が豊かに繁るように、こどもの育ちにたいして、わたしたちおとなにできること、しなければならないことは、決して多くはありません。

元気なときだけでなく、病気になったときも、こどもの生きる力、育つ力、治る力が、大きくはたらいています。その力がうまくはたらいてくれるように支えることが、こどもの医療でいちばんたいせつなことだと考えています。

まず、こどもたちがことばで、表情やまなざしで、全身の動きで訴えていること、伝えてくれることに耳をすます。そして苦痛な検査は最小限に、よけいな薬はなるべく使わずに。おうちでの工夫でのりきれることがあれば、それも伝えあっていきたい。

小さなクリニックではありますが、こどもたちの育ちを応援し、こどもを見守るおとなたちの力をも育むことができるような場に、していきたいと思っています。

院長 石橋涼子


プロフィール

1984年東京大学医学部卒業
NICU、総合病院、障害児施設などの勤務の後、江戸川区のまつしま産婦人科小児科病院小児科に10年近く勤務
2005年1月に石橋こどもクリニックを開業

著書『ゆっくり大きくなればいい』編著書『笑う不登校』(いずれも教育史料出版会
雑誌『母の友』(福音館書店)に「こども医者の健康メモ」を連載中